
以前にも書いたことがあるが(そして、このBlog を読んでくれている人の9割以上は興味がないと思うが)、日本のデジタル地上放送には、「ダビング10」というしがらみがある。
敢えて「しがらみ」と書いたのは、これも以前に書いたような気がするが、アナログ放送からデジタル放送に移行することによって一般の国民が被る最大の被害は、「コピー制限のかかった電波を受信する」ことにある。
従来(=アナログ放送)であれば、コピー回数などの制限なく、知人が見逃した番組などをDVDへコピーして渡したりすることができるのだが、今後(=デジタル放送)はこのあたりに制限がかかり、自分で観るために保存する番組であっても、DVD / Blu-ray ディスクへ書き出した途端に、元々あったデータは消去されるのだ。
さらに問題なのは、元々あった場所からDVDなどへコピーされる際、何らかの理由で書き込みに失敗してしまっても、元々あった場所からはデータが消えてしまう。
こうなると、もうどうしようもない...というので、じゃあ、「ダビング10」という仕組みを作って、9回までならコピーしても良いことにしよう...となったのだが、ここにも落とし穴がある。
実は、放送される番組ごとに、その「ダビング10」に則ったものにするかどうかを決められるのだ。
言い換えると、自分が見たい大河ドラマは「ダビング10」には対応しておらず、どうでも良いお笑い番組は「ダビング10」対応である...ということもあり得るのだ。
すると、必然的に「なんのための『ダビング10』?」ってことになるんだが、誰もそんなことは言わないし、そもそも、従来無料であった公共の電波に勝手にコピー制限をかけたこと自体がおかしーんじゃ?となるのだが、これも、誰もそんなことは言わない。
(厳密に言うと、きちんとした団体がそのような声明を出しているが、国がそれを無視している状態で、その実態を広く国民に知らせ背用としていないことに一番の問題がある)
別にコピーしないから、いーじゃん...という方もおられるだろうが、従来も、そして今後も「無料放送」であるべきものに、どうしてコピー制限がかかるのか、未だに理解できない。
(でも、それはひょっとしたら、ぼくだけなのか...?)
話がそれたが、その「ダビング10」をソフトウェア的に回避する方法を編み出した人が、逮捕されたというのだ。
これは、果たして「違法」なのか?
実は、先日も東芝が販売したDVDレコーダに補償金が含まれておらず、権利者が東芝を訴えた...という事件があった。
記事を読んでもらっただけでは、「それと今回の件と、どう関係があるの?」と言われそうだが、実は根っこは同じなのだ。
つまり、権利者側は、きちんとした対価を受け取れる仕組みが欲しい...と言っているのだ。
「言っている」ということは、現行の制度ではそれが守られておらず、それに向かって法整備するために話し合いを進めている段階...ということである。
つまり「現在進行形」なのだ。
このことから見ても、「ダビング10」というのがどれだけ「やっつけ」な解決手段かが判ってもらえると思うし、なによりも「これから決まるべきルール」と言えると思うのだ。
なのに、その「なんちゃって」なルールに違反したということで逮捕される...というのは、どういうことなのか?
この問題の根底には、「これからの権利者の在り方」「これからの著作権の在り方」「これからの一般消費者の在り方」など、これまでの概念では図りきれないいろんな問題が含有されている。
そして、それらは「そんな難しいこと言われても判んないよ」と言っている一般の人に一番深く関わってくるのだ。
願わくば、せめて今回の逮捕劇/罪状決定の際は、上述したような問題に精通した人間が一人でも加わって、正しい方向に事の結末を導いてくれることを祈るのみである。





